Loco-mmotions
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クラフトビールの歴史をさかのぼると、たどり着くのはアメリカ人のフリッツ・メイタグさん。1965年、経営危機に陥っていたサンフランシスコのアンカーブルーイングを買い取った彼は、同社の看板商品「スチーム」を復活させました。それがアメリカのビール市場に一石を投じ、現在まで続くクラフトビールの波を起こしたと言われています。フリッツさんがいなければ、Streetlightも生まれてなかったかもしれません。
さて、この「スチーム」はアンカーの商標で、ビアスタイルはカリフォルニアコモンに分類されます。コモン(common)には「普通」や「一般的」などの意味がありますが、19世紀のアメリカ西海岸で生まれた「スチーム」は、ラガー酵母を使いながらエール酵母の発酵温度で醸造するという、それまで普通ではなかったスタイル。カリフォルニアの温暖な気候では低温発酵をさせるのがむずかしかったため、多くの醸造所がこのスタイルのビールをつくりはじめたのだそう(ちなみに高温発酵時に泡がブクブクと立ち上がる様子がスチームと呼ばれる理由)。つまりカリフォルニアコモンには「カリフォルニアにとってはそれが普通になった」という意味合いがあるようです。
長くなりましたが、クラフトビールやスチームビールの歴史から感じられるのは、普通じゃなかったものが普通になるとき、誰かが最初の普通じゃない一歩を踏み出しているということ。そうして少しずつ、新しい普通(common)、新しい共有地(commons)が形成されていくということ。わたしたちも地域に散らばっているさまざまなギアを回し、新しい何かと出会いたい。ビールはそのための燃料だ! というわけで、このビールは、アンバーカラーのカリフォルニアコモン。蒸気機関車を指すSteam Locomotionから「ロコモーションズ」と名づけました。ラガーの切れとエールのフルーティさが共存するビールで燃料補給を!
ところで現在、アンカーブルーイングは事業停止中。この先どうなるのか…1965年のように新たな展開が訪れることを期待しています。
Style:California Common
ABV:4.5%
原材料名:大麦麦芽(アメリカ製造、ドイツ製造)、ホップ
リリース:2023年9月